不眠症は放置しておくと「うつ病」を発症したり、高血圧や糖尿病といった生活習慣病にも悪影響を与えます。当然日中の作業効率も落ち日常生活全般に大きな支障をきたします。

人により不眠の訴えはいろいろですが、

    不眠のパターンとしては大まかに次の4種類に分類できます。


①入眠障害・・・寝つきが悪いタイプ(通常寝付くのに1時間かかる)
②中途覚醒・・・途中で何回も目が覚め、再入眠が困難なタイプ
③早朝覚醒・・・文字通り、早朝に目が覚めてしまい、その後眠れないタイプ
④熟眠障害・・・ぐっすり眠った感じがしないタイプ
 
     次に原因別に不眠を整理すると下記の様になります。
 
  1. 適応障害性不眠症(急性不眠症)
  2. 精神生理性不眠症
  3. 逆説性不眠症
  4. 特発性不眠症
  5. 精神疾患による不眠症
  6. 不適切な睡眠衛生
  7. 小児期の行動性不眠症
  8. 薬物または物質による不眠症
  9. 身体疾患による不眠症
  10. 物質または既知の生理的病態によらない、特定不能な不眠症(非器質性不眠症、非器質性睡眠障害)
  11. 特定不能な生理的(器質性)不眠症



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不眠症の治療としては、身体疾患も含めた不眠の原因となっている病気(うつ病など)
があれば、その病気の治療も同時に必要です。
生活習慣の乱れから不眠となっている場合は、
生活習慣を見直す必要があります。
ただし、日常診療では上に書いた①~④の
どのタイプの不眠なのかによって、
睡眠薬を使い分けることが多いのです。


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睡眠薬は血中濃度の半減期により、
超短時間型・短時間型・中間型・長時間型
の4種類に分類されています。
 

一般的にいって、
①入眠障害・・・超短時間型または短時間型
②中途覚醒・・・短時間型から中間型
③早朝覚醒・・・中間型から長時間型
④熟眠障害・・・睡眠を深くする薬剤(トラゾドン、ミルタザピン、テトラミド)
を使います。
*特別な理由がない限り眠剤は単剤、増えても2剤迄にすべきであり、それでも眠れない場合は単なる不眠と思わず、別の理由を考えるべきでしょう。

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一般的に、以下のようなものが使われています。
かっこ内はジェネリック、一般名です。

超短時間型・・・・アモバン(ゾピクロン)
         ルネスタ(エスゾピクロン)
         ハルシオン(トリアゾラム)
         マイスリー(ゾルピデム)


短時間型・・・・・ レンドルミン(ブロチゾラム)
          ロラメット・エバミール(ロルメタゼパム)
          リスミー(リルマザホン)


中間型・・・・・・ロヒプノール・サイレース(フルニトラゼパム)
         ベンザリン・ネルボン(ニトラゼパム)
         ユーロジン(エスタゾラム)
         エリミン(ニメタゼパム)


長時間型・・・・・ドラール(クアゼパム)
                          ダルメート・ベノジール(フルラゼパム)
 
マイスリー、アモバン、ルネスタ、ドラール等はω1選択性が高く依存性が少ない薬剤です。